診療課放射線では、胸部と胃部と乳房のX線検査を主に、骨密度の測定、CTやMRI、大腸のX線検査を25名ほどの診療放射線技師で担当しています。
業務は院内健診と巡回健診に分かれます。院内健診では、施設によっても様々ですが、名古屋セントラルクリニックの場合、胃部の検査で1日50人前後の撮影をしています。
X線の検査は受診者様にとってつらい検査や痛い検査が多いので、検査中にいただく受診者様からの要望や検査後のアンケートに応えることは重要です。例えばマイクの声が聞き取りにくいということがないよう、検査を開始する前に「聞き取りやすいですか」と声掛けしたりと、気をつけるようにしています。診療放射線技師は人を相手にしている仕事ですので、機械的ではなく、相手の事も考えながら検査をすることが大切です。
放射線技師のミッションは、癌の早期治療に日々役立てるように画像を医師に提供することです。撮影の中で気づけたこと、撮影でしか気づけないことを、技師として先生に確実に伝わるように心掛けています。
セントラルクリニックは健診機関の中でも規模の大きいグループです。そのため検査数も多く、検査業務自体の大変さと、その後の部署ごとに行う事務処理も含めての忙しさがありますので、一般の病院とは違う忙しさがあるかと思います。しかしその反面、画像を見る機会も多くなりますので、多くの症例に出会え、技師同士で勉強できるところはやりがいだと感じますね。
またかつて病院で勤務していたときには内部の先生との交流しかなかったのですが、セントラルクリニックでは各施設の先生や、外部から来ていただいている先生との交流の機会が数多くあります。
気になった所見の技師コメントに対して先生から意見をいただいたり、撮影技術に対して指導をしていただいたり、先生がここをもっとこうしたら良いよねというところを技師同士で共有し、撮影技術の向上に繋げていったりしています。また日々気になることに対し先生の意見を伺うこともあります。そのようにたくさんの先生方から様々な知識について教えていただける環境にあるということはやりがいに繋がりますし、セントラルクリニックのいい面だと思います。
技術に対しての厳しさについて言えば、撮影はなかなか簡単には撮れるものではなく、日々撮影したものを見て、技術を修正したり、また先輩に指導していただいて直すなど、日々の修練を積んで常時レベルの向上を図らなければならないという厳しさもあります。
技量によっては同じような写真を撮っていても、この人が撮ればここまで写せるけれど、この人のレベルだとまだ引き出しきれてないということもあります。画像検査は写ったものでしか評価できないので、そこはやっぱり技師としての技量が問われますね。
写真は、同じように撮って撮れるというものでもないですし、中には手術などにより部分的にしか対象箇所がない方の撮り方もあります。そのような中で、周りの技師の意見を聞きながら取り入れるところを取り入れ、いつでも技術の向上を続けていくのが我々技師の本分なのです。
検査に慣れるまでは、撮りにくい人も出てくることでしょう。乳房を例にとっても、骨が出ている人ですと通常のようには撮れません。教科書通りの撮り方ですと、「この位置で撮る」ということしか分かりません。「こういう胃の人をどのように向けたら撮れるのか」というのは、頭ではわかっていても実際やってみると違うんですね。
私もそこを最初は苦労しましたが、先輩に教えてもらい、経験を重ねる中で十分に撮れるようになっていきました。検査の経験数は病院に比べて格段に違うと思いますので、そこは技師にとってメリットだと思いますね。
まずマンモグラフィー検査に携わりたいという思いがありました。マンモグラフィー検査は男性技師が撮影されている病院や健診機関もありますが、基本的に女性の検査なので、女性が撮影した方がいいという思いがあります。また自分自身にも関係があるものですので興味を持ち勉強を始めました。セントラルクリニックは規模、設備共に充実していたため、経験を積もうと思い入職しました。セントラルクリニックに来てマンモグラフィー検査に第一線で携わるという夢は叶えられています。
マンモグラフィー検査は女性が受ける検査ですから、技師が女性だからこそリラックスして受けていただきたいと思いますね。受診者様から「女性でよかったわ」と言われるとやはり嬉しく思います。
新しい巡回健診バスのプロジェクトに技師として参加しました。このプロジェクトはそれまでのアナログの機材からデジタルへ変えることを目的としたもので、バスの設計から始まり、機材の選定、デザインからバスの完成までにわたり、1~2年程の期間をかけて行いました。数か月に1度全員で定例会を開き、関係部署で話し合いをしたり、一方で放射線課だけで話をしたりしながら検討を進めました。議題は今後の需要についてが多かったですね。巡回健診の乳がん検診はどれくらい需要があるのか、バス自体必要かどうか。そしてコスト的な観点から、新しいバスの製作費とそれがペイできるのか、営業の渉外部門も絡んで話をしています。これらには診療管理部だけではなく、車両専門の巡回業務の方も協力しています。
また診療管理部としては、装置を技師として選定すること、新しいバスを診療管理部の観点で一からデザインすることの2点に特に力を入れました。巡回健診は件数が多く、1日の検査で100件以上撮影することもありますので、なるべく機材の点からも技師の負担が減るように検討しました。また装置の変更により受診者様の入れ替えの時間を短縮し、待ち時間を減らせるメリットもあります。
デザインに関しては、なるべく女性らしい形で、乳がん検診だとわかりやすくしようという思いがありました。バスの多くの箇所で花のデザイン案を使用し、全体に華やかなイメージを持たせています。受診者様の緊張をほぐすためにも、華やかなデザインの中で安心して健診を受けていただきたいと考えています。
完成してみて、以前より使いやすくなったとの技師の声もありますので、妥協なくプロジェクトに携わった甲斐がありましたね。
画像検査に関していえば、自分たちの撮った画像が、医師の診断や受診者様の今後の治療に関わり、今後の人生を左右するかもしれないということもあります。撮影技術の向上はもちろんのこと、画像を読む力については、医師と同様の診断ができるくらいのレベルまで高められるよう、自分を含めて新人まで技師の教育をしていきたいと考えています。
ここで言う画像を読む力とは、総合的な能力になりますが、1つは所見に対する知識があります。そこに対する知識がないことには撮影できません。また胃の検査は特に検査中に病気を発見することが重要ですので、検査中に見つけられる力を身に着けるということは重要ですね。例えばバリウムが流れている瞬間にしか捉えられない所見もあります。バリウムがうまく乗せられていませんと写真に写らない場合もありますので、そこは技術の差が大きく出ますね。角度によってバリウムの通るところも変わってきますし、病変が何かによってバリウムを溜めなければいけないのか、または弾くのかという判断も必要です。
また受診者様は逆立ちのような体勢にもなりますから、動いているだけで精一杯で、右なのか左なのか自分がどちらを向いているか分からなくなってしまうこともあり、同じように「右を向いてください」と伝えても、中にはすぐに右を向けない方も出てきます。そこで「こっちを向いてください」など受診者様をよく見て、相手が分かる言い回しに変えていきます。また聞き取れなかったりすると、それだけで動けなくなったりすることもありますから、聞き取りやすさにも注意を払う必要があります。
これは受診者様とのコミュニケーションに関わる問題でもあります。最初の説明は受診者様の持つ印象が決まるので重要ですが、それだけではありません。こちらの伝えたいことがうまく伝わらなかったりすると、撮りたい写真も撮れなくなります。
検査の知識・技術だけではなく、受診者様への接遇を含めて気をつけられることはたくさんあると思いますので、それらを含めて画像を読む力として全員でレベルを上げていければと考えています。